山梨県情報政策アドバイザー会議
提 言
山梨ICT戦略に向けて
〜 山梨県の情報化を全国トップレベルへ 〜
平成19(2007)年11月
山梨県情報政策アドバイザー会議
山梨県情報政策アドバイザー会議
目次は以下の通りですが、このページでは「Ⅴ.リーディングプロジェクト」のみを編集して転載します
- 《序 章》
- Ⅰ.山梨県情報政策アドバイザー会議の役割
- Ⅱ.情報通信産業及びICT活用に向けた全国的な動向
- ・情報通信産業の動向
- ・国の施策の動向
- Ⅲ.山梨県における現状
- ・情報通信基盤
- 《インターネットの利用状況》
- 《CATVの普及率》
- ・情報通信産業の状況
- ・県における取り組み
- 《やまなしITプラン》
- 《電子自治体の構築
- ・情報通信産業の振興施策
- 《本 章》
- Ⅳ.情報通信産業の振興による地域経済の活性化に向けて
- 1 山梨県のポテンシャルと課題
- 2 情報通信産業振興の基本理念
- 3 情報通信産業振興の方向
- (1) 情報通信基盤の整備について
- (2) 産業集積について
- (3) 高度ICT人材の育成について
- (4) 公共・民間アプリケーションの連携について
- Ⅴ.リーディングプロジェクト
- 1 情報通信基盤・高度情報化拠点の整備と情報ハイウェイの利活用の推進
- 2 産・学・官の連携の強化
- 3 情報通信産業の集積を促進する支援制度の充実
- 4 推進体制
- 《資 料》
- 1 会議開催状況
- 2 委員・オブザーバー名簿
Ⅴ.リーディングプロジェクト
本提言は、情報通信産業の誘致や活性化策等について、総論的に示したものや、直ちに実現が可能なものから長期的な視点から取り組むものまでの幅広い内容を含むものである。
このため、特に山梨県の特性と優位性を活かして、「情報満載都市やまなし」を実現していくため優先的に取り組むべき事項を、リーディングプロジェクトとして次に示した。
このリーディングプロジェクトに示した事項については、必ずしも県が主体となって取り組むべきものばかりでなく、また、県の財政が厳しいことから財源確保の課題や関係機関の協力など、その実現に向けての制約は多いものと承知しているところであるが、実施による地域産業活性化への効果は大きいものと考えており、その実現を大いに期待するものである。
1 情報通信基盤・高度情報化拠点の整備と情報ハイウェイの利活用の推進
情報通信産業における情報通信基盤の整備は、製造業では原材料や製品を運搬する道路に相当する大変重要な経営資源である。
このため、既に県内の幹線として情報ハイウェイが整備されている等の現状を踏まえ、首都圏をつなぐ高速回線や、本県通信環境の向上と自立を図る地域IXの整備などについて、最優先課題として対応していくことが必要である。
○ 情報ハイウェイを東京と高速回線で接続するとともに、長野、静岡との接続や、「東京一極集中」となっている通信回線の弊害を防ぐため、地域IXの整備を進める。
○ 情報通信産業の振興や高付加価値化に不可欠な産業のICT化を推進するため、インターネットデータセンターの誘致・整備や情報通信基盤管理機能、産・学・官の連携による研究開発機能(企業)等を備えた高度情報化拠点整備を進める。
○ 情報ハイウェイを有効に活用することにより、高速・大容量でデータ交換するための回線が低廉な価格で提供可能とすることにより、県内企業の効率化や高度化の促進につなげる。
○ 情報通信産業の振興や高付加価値化に不可欠な産業のICT化を推進するため、インターネットデータセンターの誘致・整備や情報通信基盤管理機能、産・学・官の連携による研究開発機能(企業)等を備えた高度情報化拠点整備を進める。
○ 情報ハイウェイを有効に活用することにより、高速・大容量でデータ交換するための回線が低廉な価格で提供可能とすることにより、県内企業の効率化や高度化の促進につなげる。
2 産・学・官の連携の強化
(1) 拠点の整備
国内外の情報通信産業での競争が激しさを増すなか、企業は、新卒段階で即戦力たる人材を求めている。高度ICT人材の育成、供給の拡大に向けて、大学・大学院などにおけるICTの実践的教育機能を向上させるとともに、企業における具体的ニーズを反映した大学・大学院教育のあり方や企業側の協力体制などについて、産・学・官の連携・協力の下で、高度ICT人材育成に向けた取り組みを強化するため、産・学・官の連携による先進的実践教育・研修拠点を整備する必要がある。
○人材育成コラボレーションセンター(仮称)の設置
産・学・官の連携による先進的実践教育・研修拠点の整備
《主な機能》
・リエゾンオフィス、インキュベーションセンター
・大学のサテライトオフィス(教員の派遣)
・大学コンソーシアムの活動拠点
産・学・官の連携による先進的実践教育・研修拠点の整備
《主な機能》
・リエゾンオフィス、インキュベーションセンター
・大学のサテライトオフィス(教員の派遣)
・大学コンソーシアムの活動拠点
(2) 県内での連携
県内には山梨大学をはじめとする大学や産業技術短大、情報系の専修学校などの教育機関や工業技術センターなどの試験研究機関、(財)やまなし産業支援機構や商工会議所などの商工団体などがある。本県情報通信産業の発展のためには、産・学・官の連携を一層強化し、大学や試験研究機関の有するシーズや技術、商工団体の有する様々な支援機能を活用して、新事業創出のための共同研究や企業が求める人材の育成のための取り組みを一層推進する必要がある。
また、シルバー人材の長年培った技術を、若者に継承する取り組みを推進する。
○地域産業人材育成事業
県内教育機関と企業との連携による人材育成(再育成)システム の構築
(インターンシップ、中堅社員研修、中間管理職研修など)
県内教育機関と企業との連携による人材育成(再育成)システム の構築
(インターンシップ、中堅社員研修、中間管理職研修など)
(3) 国内・国際連携
県内では習得することが困難な最新かつ高度な技術を習得するための先進企業への派遣研修、研究機関や無線通信事業者、大手情報機器メーカー等との連携による高度ICT人材の育成などを推進する必要がある。また、団塊の世代を含めた首都圏からのUターン・Iターン人材の誘致、活用を図る。
さらに、国際的な地域間競争や既に常態となっている国外企業との連携などに対応できる視野を持った人材育成や相互協力の推進のため、既に山梨大学などで築いている協力関係を活用した連携を進めていくことが必要である。
○国際連携による人材育成
《事例:日中共同人材育成事業》
ブリッジエンジニアの養成、姉妹都市との広範な協力体制の確立
(中国企業、中国の大学、山梨大学など県内大学、日本語学校など)
・日中の大学が共同して技術・看護分野の人材を育成
・語学教育から各分野の専門教育
→ 業務系アプリケーションの共同開発
《事例:日中共同人材育成事業》
ブリッジエンジニアの養成、姉妹都市との広範な協力体制の確立
(中国企業、中国の大学、山梨大学など県内大学、日本語学校など)
・日中の大学が共同して技術・看護分野の人材を育成
・語学教育から各分野の専門教育
→ 業務系アプリケーションの共同開発
3 情報通信産業の集積を促進する支援制度の充実
(1) 情報通信関連企業の立地に向けた支援制度
広い土地や大規模な施設整備を必要とする製造業と異なり、情報通信技術等を活用して様々なサービスを提供する情報通信産業の特性を踏まえ、国の支援制度の有効活用などにより情報通信関連企業の立地を促進するための支援制度を充実し、地域間競争の中での優位性を確保していく必要がある。
○情報通信産業の特性を踏まえた企業誘致促進のための支援
(2) 高度ICT人材育成の支援制度
県内の情報通信事業者の振興を図るとともに、県外からの誘致を推進するため、高度ICT人材など企業ニーズに対応した人材確保とともに、首都圏に集中する市場を山梨に誘導する方策が必要である。このためには、2に示したような新規採用者の確保と併せて、地元事業者が首都圏等の先進企業等に技術者を派遣し、そこで最先端の技術や知識を習得することにより信頼を得て市場獲得につなげようとする取り組みを支援する必要がある。
○新たな市場獲得のための高度ICT人材育成への支援
(3) 高速かつ低廉な情報通信基盤の提供
県が整備した高度情報通信基盤の幹線である情報ハイウェイなどを活用し、県内の企業や大学・試験研究機関が企業活動・研究活動のために利用する高速インターネットサービスや専用線サービスが低廉で利用できる環境づくりを進め、少なくとも首都圏などと同等な価格で利用できるよう支援する必要がある。
○産業集積地等へのラストワンマイルの整備促進
○高速インターネットサービスの展開促進
○高速インターネットサービスの展開促進
4 推進体制
経済環境の変化と地域間競争の激しい今日、地方自治体は自らの判断と責任の下に地域の実情に沿った政策を実施していくことが求められており、情報通信産業の誘致・振興においても地域の特色や強みを生かす独自性のある取り組みが求められている。県においては、「本提言」実現に向け、知事を先頭に民間と行政がこれまで以上に協調・連携して、次のような推進体制の整備を図っていくことが望まれる。
(1) フォーラムの開催等
「山梨ICT戦略」を効果的に推進するためには、企業や業界団体、大学等理解と協調が必要であり、積極的な情報提供により十分周知を図る必要がある。このため、戦略の策定にあわせ産・学・官による「ICTフォーラム」を開催し、関係者や県民への周知を図る。
また、支援制度の説明会を、情報通信産業が集積する東京などで開催し、首都圏の企業の本県への進出を促す。
(2) 推進室の設置
変化の激しい情報通信産業の誘致・振興を担当する県の組織は、施策を迅速かつ効果的に実施に移すことができる体制であることが求められる。このためには、情報通信関連企業の誘致・振興を担当する専門部署を設け、情報通信関連企業のニーズ等を的確に把握する中で施策を立案し、実施できる体制を整備することが必要である。
この会議の開催状況は以下の通りでした 開催場所は山梨県東京事務所
第1回 | H19. 5. 8 | 「自由な意見交換」 |
第2回 | H19. 6. 6 | 「山梨県の情報インフラについて」 ○ 現状 ○ 将来のイメージ (1) 伝送系 ① ブロードバンド化 ② 地上テレビ放送のデジタル化 (2) 地域IX ① 地域IX、東京との高速接続など |
第3回 | H19. 8. 6 | 「地域振興とICT」 ○ ソフト産業 ○ 観光とICT ○ 保健・医療、福祉、少子化とICT ○ 教育とICT ○ 電子自治体 |
第4回 | H19.10.26 | ○ 提言の取りまとめ |
このページに掲載のテキストは「情報政策アドバイザー会議の提言」から編集して転載させていただきました。この会議設置の経緯は「甲府駅北口県有地の高度情報拠点計画」のページに書きました。