はじめに
平成19年大河ドラマに、井上靖原作の「風林火山」が決まった。戦国時代最強といわれた武田家の栄光の歴史、愛と夢と野望に満ちた群像が1年間にわたり、全国に発信される。
大河ドラマには、
①山梨の知名度の飛躍的向上
②観光振興などの地域活性化
③郷土の豊かな歴史の再確認
の3つの地域に及ぼす効果がある。
こうした効果を最大限に引き出し、山梨県を観光王国とし、県民が誇りを持って、いきいきと暮らせるようにするため、山梨経済同友会は、実効性が期待できる具体策を提言する。
風林火山委員会 委員長
- 提言1 山梨の知名度向上と観光客誘致大作戦を展開
- 提言2 観光客が驚く観光王国・山梨への改造計画の実行
- 提言3 山梨観光活性化の秘策 風林火山博の開催
- 提言4 山梨の歴史・人間の豊かさの再発見
提言1 山梨の知名度向上と観光客誘致大作戦を展開
- (1) 多様なメディアで大河ドラマと連携し、山梨の情報を発信
- ・放送 大河ドラマタイトル、ゆかりの地ミニ紀行
歴史番組、旅番組、情報番組ほか - ・出版 大河ドラマストーリーやテレビガイド雑誌への広告
旅行雑誌や中高年雑誌、JR車内誌などの企画記事
旅行ガイドへの掲載 - ・ウエブ 大河ドラマと山梨観光情報HPの結びつきの強化
- (2)話題性のある観光キャンペインの実施
- ・信玄公まつりや光のピュシスなどへの大河ドラマ出演者の参加やドラマの題材の取り込み
- ・ 由布姫観光キャラバン隊の派遣
(銀座・新宿など街頭、新聞社訪問、首都圏イベントなど) - ・大河ドラマ出演者観光ポスターの全国JR駅への掲出
- (3)旅行、輸送業など関係団体との緊密な協力
- ・JRデスティネーションキャンペインへの組み入れ
- ・旅行業者の企画ツアーへの売り込みと集中観光キャンペインの実施
- ・県外の大河ドラマゆかりの地の関係団体との連携
提言2 観光客が驚く観光王国・山梨への改造計画の実行
- (1)ようこそ風林火山の里へ
- ・鉄道の駅、高速道路IC、道の駅、観光地を風林火山ののぼりで埋め尽くす
- ・タクシーやバスにも風林火山のステッカーを
- (2)100人の由布姫でおもてなし
- ・県民から公募で選び、毎週末甲府駅で由布姫の装束で観光客に後述の無料の「完全版 山梨観光ムック」を配布(1日2人)
- ・時には、観光相談にのる案内人の役回りも
- (3)武田24将と由布姫像の建立
- ・信玄公像に加え、武田24将と由布姫の像を作り、新たな観光スポットとする
- ・像を巡るポイントラリーなどイベントへの活用も可能に
- (4)観光資源の再発掘と価値付け
- ・山紫水明の地 おいしい水と空気、秀峰富士や桃源郷の景観、特色ある温泉、果物、ワイン、郷土料理、花、森と山、史跡、古刹、文化財、伝統工芸、宝飾、美術館、博物館、行楽施設、など観光王国の資源の掘り起こしとコンセプト付け、整理
(例)白州・富士北麓ほか県下どこでも天下一の水がタダ
昼はひまわり畑で映画の恋人気分、夜は銀河鉄道を望む
宝石のような夜景が楽しめる露天の温泉がいっぱい
富士山が見える露天風呂一覧
昭和30年代の町へタイムスリップ
首都圏からの移住者が語る「愉悦のやまなし」 - (5)完全保全版「観光山梨ムック」の作成と無料配布
- ・観光資源を季節や観光客の属性にあわせ、1000のお奨めコースを作り、ムック本を100万部印刷(広告料も活用)
- ・富士北麓や峡南、東部なども上手にコースに組み込む
- (6)山梨観光パーフェクトウェブの構築
- ・「観光山梨ムック」のインターネット版を作り、バーチャルツアー体験も可能に
- ・ウェブには交通機関や時間、料金などのナビ検索機能をもたせたり、宿泊予約もできるようにする
- ・富士山などのライブカメラやブログも加え、楽しめるものに
- (7)遊休地を活用した新たな観光施設の設置
- ・例えば、米倉山ニュータウン用地に広大なアウトレットモールや国母の卸売り市場跡地に水族館、県民情報プラザにオープンカフェなど、十分に活用されていない土地に新たな観光施設を作り、地域活性化を図る
- ・投資額が大きいものについては、総合的かつ中長期な視点からの検討も必要
- (8)新たなイベントの創設
- ・桃源郷フェスティバル、大なべほうとう会、信玄棒道ウオーキングラリー、蔵出しワインセレモニー、八ヶ岳凧揚げ大会など季節や風土の持ち味を生かしたイベントを創設
- ・イベントにはできるだけ、観光客が自ら参加したり、食の要素を取り入れる
- (9)"食" や "芸術" で地域イメージアップ
- ・宇都宮市が餃子の街として売り出したり、富士河口湖町が多彩な美術館を作り、感性豊かな観光地として人気があるように、本物の"食"や"芸術"の魅力で街のイメージを高める
- (10)わたしも観光案内人
- ・タクシー運転手、旅館・ホテル、観光施設従業員などに研修で武田の歴史や山梨の観光情報を知ってもらい、観光客に丁寧にガイド
- ・関係者の意識改革のためのポスターの制作と掲出
- ・息の長い活動による県民へのおもてなし意識の浸透
- (11)観光客の受け入れ体制の強化
- ・観光地への案内標識の整備
- ・観光地の駐車場やトイレなどの整備
- ・特に舞鶴城や甲府駅周辺などの駐車場については、配慮が求められる
提言3 山梨観光活性化の秘策 風林火山博の開催
- (1)風林火山博覧会で集客と山梨の魅力周知
- ・山梨の玄関口、甲府駅周辺で開催し、首都圏などから観光客確保
- ・大河ドラマ館と山梨物産館で構成
- ・大河ドラマ館は、ドラマ情報ゾーンや武田歴史ゾーンなどを展示
- ・山梨物産館は、工芸品や菓子、果物、宝石など山梨の本物の魅力を凝縮、中には定住促進コーナーも
- ・大河ドラマ放送にあわせ1年以上開催、山梨への関心が高まる時期に、新たな観光の目玉とし、ツアーにも組み込む
- ・事業運営は行政や経済団体、民間団体からなる推進会議を組織
- ・事業費は入場料収入や補助金などで賄う
- ・展示物の一部は風林火山博終了後、既存施設で再活用も検討
- (2)周辺観光地やイベントとの相乗効果
- ・来年春に完成する、大手門歴史公園や武田神社、甲府五山、県立博物館など近隣観光施設とのシナジー効果を図る
- ・このため、風林火山博会場から30分程度で行ける観光コースを設け、周知する
- ・信玄公まつりや光のピュシスなど各種イベントとの相乗効果も図る
提言4 山梨の歴史・人間の豊かさの再発見
- (1)山梨の歴史の輝きを知る
- ・ 武田の歴史フォーラムや講演会の実施
- ・ 武田の史跡の整備
- ・ わが町の歴史の広報誌への掲載
- ・ 史跡めぐりツアーの実施
- (2)子供たちに誇りを
- ・ 小学校の社会科か総合学習の中でドラマや史跡見学、イベントや博物館見学を題材に郷土の歴史や人間の素晴らしさを教育
編注・この文書のソースは山梨経済同友会ホームページにある「風林火山委員会提言書「大河ドラマ『風林火山』放送をきっかけにした地域活性化について」 (Word書類 47KB)」です。