東日本大震災と原発震災

山梨県 野生きのこの出荷制限、検査計画、解除の考え方

リニア中央新幹線関連で巡回中にふと目にした山梨県庁の記事、県産特用林産物の放射性物質検査の実施(平成25年度第12期)について※出荷制限区域における野生きのこの検査(第3回目)(発表日:2013年10月7日)

出荷制限区域(富士吉田市、鳴沢村及び富士河口湖町)内で発生した野生きのこの放射性物質検査について、原子力災害対策本部が示した「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」に基づき、次のとおり実施します。

1 基本的な考え方
 (1) 野生きのこの放射性セシウム濃度が安定して基準値を下回ることが確認できるまで、国の出荷制限が解除されないことから、当分の間、採取、出荷及び摂取の自粛の要請は継続することとし、出荷制限の解除に向けた検査を行い、データを収集する。
 (2) 県内で食用とされる主な野生きのこを対象とし、これまでの検査で食品衛生法で定める基準値(100Bq/kg)を超える放射性セシウムが検出された種類を中心に検査を行う。
 (3) 発生状況等を考慮しながら、できる限り検査地点に偏りが生じないよう採取地を選定し、1ヶ月に1回を目安として検査を実施する。
 (4) 検査の結果は、県ホームページ等で随時公表する。

2 サンプル採取方法 サンプル採取は、県が行います。
3 分析機関 山梨県衛生環境研究所
4 検査対象(平成25年度第12期)
 分類/ 品目/ 産地/ 検査日(予定)/ 結果公表日(予定)
 野生きのこ/ 県内で食用とされる主な野生きのこ/ 富士吉田市、鳴沢村、富士河口湖町/ 平成25年10月8日、9日/10日

私は、原子力災害対策本部が示した「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」 のソースを確認したかったので、手元に作成していたリンク集を久しぶりに開いて巡回、検索してみました。
まず、発信元から辿って県庁発信情報はおそらく以下だと思います・・・
山梨県森林環境部林業振興課 野生きのこの出荷制限等に関する情報など記事が一覧で確認できます。
山梨県企画県民部消費生活安全課 新着情報にリンクがあります。
野生きのこの放射性セシウム検出に伴う原子力災害特別措置法に基づく指示について 発表日:2012年10月27日
 この記事がこの件に関する山梨県としての最新記事かどうかは不明ですが、これしか探せませんでした。

山梨県内の関連自治体、団体は・・・
富士吉田市 | 野生きのこの採取、出荷及び摂取の自粛について 2013年9月30日
富士河口湖町 | 野生きのこ採取の自粛のお願い
鳴沢村 | 新着情報一覧
やまなしJAグループ関連リンク集

政府から発信された情報の確認は次の通りです・・・・
「最新情報」 首相官邸から原子力災害対策本部関係
首相官邸 食品や水への影響 <出荷制限・摂取制限>
◇ 2013年10月1日 厚生労働省 原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定について
◇ 2013年3月19日 厚生労働省 食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正について
林野庁 野生きのこの採取にあたっての留意点
消費者庁 「東日本大震災についてのお知らせ」の中に (1)野生きのこ及び山菜に関する情報
農林水産省 農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果(随時更新) これはまとめ情報として便利です。

山梨県の考え方は、何に準拠しているか

結論は上記の 食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の 2013年3月19日 改正バージョン に準拠しているはずです。

下図は /shokuhin-st/documents/23-4shiryo4-2.pdf から切り出した画像です。山梨県消費生活安全課が一度は公開した記事に付属していたPDFファイルを検索エンジンが記録していたものと思いますが、該当記事を探すことは出来ませんでした。

2012年3月12日

上にリンクした 2013年3月19日 厚生労働省の「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正記事にアップロードされているPDFファイル、「平成25年3月19日 検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方 原子力災害対策本部」の「改正の経緯」に書かれている内容を抜粋しておきます。

 今般、事故発生から1年が経過した平成24年4月以降の約1年間の検査結果が集積されたこと等を踏まえ、検査対象品目、出荷制限等の解除の考え方等について必要な見直しを行った。
 運用に当たっては、これまでに得られている知見(これまでの検査結果に加え、放射性物質の降下・付着、水・農地土壌・大気からの移行、生産・飼養管理による影響等)を踏まえて対応する。
------(編注・部分ですから原本を参照してください 下線は編者です)------
平成24年3月12日一部改正
 平成23年産農畜産物の検査結果が集積され、平成24年4月1日から新基準値が施行されることを踏まえた改正。
平成24年4月1日
 食品衛生法に基づく放射性物質の新基準値の施行。
平成24年7月12日一部改正
 平成24年4月以降の検査結果の集積を踏まえた検査対象の追加。出荷制限の対象となる食品の多様化を踏まえ、検査対象品目、出荷制限等の解除要件等について改正。個別品目に大豆及びそばを追加。

従って、山梨県消費生活安全課などが以前参照したと思える「資料4-2」平成24年3月12日文書は旧バージョンですから、冒頭に引用した2013年10月7日記事の「原子力災害対策本部が示した」ものとは異なります。

山梨県の放射能汚染に関するトップページは、原子力発電所事故による本県への影響について、このページの「県産農産物の放射性物質検査 」項目から
平成25年度県産農産物放射性物質検査の実施予定について(更新日:2013年3月4日)に入れます。

平成24年4月1日の食品中の放射性物質に係る新基準値施行に伴う「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」に基づき、県産農産物に対する消費者の不安感を払拭し、風評被害による販売不振などへの影響を防止する観点から出荷する県産農産物の放射性物質検査を行う。
平成25年3月4日付け計画策定

「平成24年4月1日の・・」がポイントですが、林野庁 野生きのこの採取にあたっての留意点 には次のように記載されています。

自治体における取組 検査を実施している都県
 野生きのこについて、これまでの検査結果を参考として、「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」(原子力災害対策本部平成25年3月19日改正)に基づいて、17都県*において検査計画を作成して検査しています。
*17都県 : 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県

山梨県も常に最新版をフォローして、平成25年3月19日改正版を「原子力災害対策本部が示した考え方」としていると思えます。これが私が到達した結論です。

食材、食品の測定は内部被曝を防ぐ目的で行なわれています。それが野生のキノコであるばあいに、その採取場所近傍での土壌汚染などの確認もしているはずだと思いますが、その情報は出ていません。
森林浴などで人々が立ち入る場所であれば、総合的な対応は必要だと思います。

ヨウ素131 は半減期が短いので近年はセシウム135, 137 だけが取り上げられていますが、福島第一原子力発電所の事故による地下水、海洋汚染ではストロンチウム90 の問題も報じられています。
『ストロンチウムはカルシウムと似た性質をもつ。化合物は水に溶けやすいものが多い。体内摂取されると、一部はすみやかに排泄されるが、かなりの部分は骨の無機質部分に取り込まれ、長く残留する。成人の体内にあるストロンチウムの量は320㎎である。』ストロンチウム-90(90Sr) | 原子力資料情報室(CNIC)

山梨県の放射能汚染が比較的低いレベルに収まったのは秩父・多摩山系によって放射能プルームが防がれたからだと言われます。その山系地域の森林などに放射性物質が堆積したことで甲府盆地に到達するものは薄められた、あるいは山岳に遮られて北西方向にプルーム流れの向きが変ったのであれば同じく堆積はあったと考えることはできます。
しかし富士北麓地域だけで野生キノコに汚染が検出されていることはどう考えればよいのか。他の地域では商品として県外に出て行かないので測定が行なわれていないという理由かも知れません。