現在、一都三県においては、新規感染報告者数と検査陽性率は減少傾向にあるものの、依然として高い水準にあり、医療提供体制についても、重症化リスクの高い高齢者の感染が減らないなど、重症者数の増加が懸念される中、重症者用病床を含め、逼迫した状態が続いている。また、変異株の市中感染やクラスターが確認されるなど、新たに警戒すべき事態も生じており、感染拡大を抑え込めるかどうかの分岐点にある。
そうした中、国が緊急事態宣言の延長を決定したことは、現在の措置を緩めることなく、ここで何としても感染拡大を食い止め、コロナとの闘いを終わらせる強い決意の表れとして受け止めている。
先般、我々も行動指針として「一都三県共同宣言」を発するとともに、国に対する要望事項を取りまとめ、提出したところである。
国には、現場で課題に直面している地方自治体の認識をしっかりと受け止め、改正特別措置法に基づく措置等について、十分な科学的根拠に基づく適切な判断、今後の基本的対処方針の改定に関する十分な事前協議を改めて求めていく。
また、措置の実効性を担保するため、一都三県が実施する施策に対して必要な財政措置を行うこと、特に、感染拡大防止協力金については、国の責任で制度を構築し、全額国費で負担することを重ねて要望していく。
我々一都三県は、今後も情報共有や意見交換を積極的に行い、連携を更に深め、テレワークの取組強化や世代の行動特性を意識した呼びかけの実施など、徹底した人流抑制に向けた取組を進め、感染拡大防止に全力を尽くす所存である。令和3年2月2日 埼玉県知事 大野 元裕 千葉県知事 森田 健作 東京都知事 小池 百合子 神奈川県知事 黒岩 祐治
令和3年2月5日
経済再生担当・全世代型社会保障改革担当 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 西村 康稔 殿 厚生労働大臣 田村 憲久 殿 経済産業大臣 梶山 弘志 殿
埼玉県知事 大野 元裕 千葉県知事 森田 健作 東京都知事 小池 百合子 神奈川県知事 黒岩 祐治
新型コロナウイルス感染症対策に関する要望について
要 望
1.緊急事態措置等について
(1)緊急事態宣言の措置内容の変更等に伴い、基本的対処方針を改定する場合には、事前に緊急事態宣言が発出されている1都3県との協議・調整を十分に行うとともに、混乱を避けるために一定の周知期間を設けること。2.特別措置法の改正について
(1)改正特別措置法の施行に伴い、都道府県が速やかに統一的な措置を執行できるよう、これまでの 1 都3県の要望や法の附帯決議の内容を踏まえた指針、ガイドライン等を直ちに示すこと。3.地方創生臨時交付金について
(1)地方創生臨時交付金については、全ての地方自治体が必要とする額を確保すること。その配分に当たっては、地方自治体の財政力による補正を行うことなく、直近の感染者数や医療需要など感染状況の実態や支給対象事業者数などを的確に反映すること。また、地方自治体の資金繰りに支障を生じないよう、速やかに交付すること。4.感染拡大防止協力金について
(1)協力金の制度構築については、1月29日にも要望をしたところであるが、経営への影響の度合いなどを勘案した新たな協力金をつくる際は、地方自治体間で異なる制度とならないよう、国の責任で制度を構築し、全額国費で負担すること。5.事業者に対する支援について
(1)中小事業者に対する一時金について、緊急事態宣言の期間延長に伴い影響が拡大するため、速やかに支給要件や申請方法など制度の詳細を示すこと。その上で、対象事業者の明確化や支給額の拡大を図るとともに、減収要件を緩和するなど、制度の拡充を図ること。6.積極的疫学調査の重点化について
(1)基本的対処方針においては、積極的疫学調査を実施する際に優先度も考慮するとされており、専門家の意見を踏まえ、調査対象の重症化のリスクを勘案し、調査の重点化や簡略化を実施する場合の具体的な基準、事例及び優先度を早急に示すこと。7.変異株への対応について
(1)新型コロナウイルス感染症変異株の発生状況の把握を行うため、発生地域を中心とした陽性検体の必要数を国が収集のうえ、検査を速やかに実施し、情報を還元すること。8.医療機関・保健所への支援について
(1)要介護者・認知症の新型コロナウイルス患者の入院に当たっては、看護に加えて生活支援を併せて行うなど医療機関の大きな負担となっている。このため、医療機関の実態を踏まえ、医療機関が患者への多様な取組を行う際の支援を充実させること。また、これらの患者の入院等に当たり、医療従事者の確保のため、感染症が全国的にまん延している状況下を想定した実効的な応援派遣などの支援を充実すること。9.生活困窮者に対する支援について
(1)緊急事態宣言の期間延長に伴う不安を解消するため、生活に困窮する方を支える緊急小口資金等の特例貸付の新規申請受付期限の延長など、支援のさらなる拡充を図ること。また、その償還免除等については、国から方針が示されたところだが、総合支援資金に係る償還免除要件を含め、具体的な取り扱いを早期に示すこと。10.新型コロナウイルスワクチンの接種について
(1)新型コロナウイルスワクチン接種に当たり、各自治体での負担が生じないよう、国の責任において十分な財政措置を行うこと。11.施設内感染対策の強化について
(1)基本的対処方針に示された、感染多発地域における高齢者施設の従事者等の検査の集中的実施については、緊急事態宣言が解除された場合でも、必要に応じて継続的に行えるよう、国の責任において財政的な支援を行うこと。12.テレワークの推進について
(1)「出勤者数の7割削減」に向けて、テレワーク実施の更なる強化を経済団体に働きかけること。