G7首脳テレビ会議の結果 2020年3月16日

外務省発表 2020.03.16 深夜

G7首脳声明(2020 年 3 月 16 日)(仮訳)

 我々,G7首脳は,新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが,人道的な悲劇かつ世界的な衛生上の危機であり,世界経済にも大きなリスクを与えることを認識する。
我々は,より緊密な協力と強固な連携を通じ,強いグローバルな対応を確保するために必要なことは全て行うことをコミットする。現下の情勢は,国家的な緊急措置を必要とするかもしれないが,我々は国際経済の安定に引き続きコミットしている。我々は,新型コロナウイルスのパンデミックに関連する現下の困難への対処のため,科学と根拠に基づき,かつ,我々の民主的な価値観及び民間企業と整合的な,国際的に連携されたアプローチを取ることが必要であるとの確信を表明する。

 我々は,政府の全ての力を集結させて,以下を行うことにコミットする。
● 新型コロナウイルスのリスク下にある人々を守るための必要な公衆衛生上の手段を調整する。
● 市場の信認及び成長を回復し,雇用を守る。
● 国際貿易及び投資を支援する。
● 科学,研究及び技術協力を促進する。

 我々は,ともに行動することで,新型コロナウイルスのパンデミックによって生じる保健及び経済リスクを解決し,力強く持続可能な経済成長と繁栄の力強い回復のための土台をつくるために取り組む。

新型コロナウイルスに対する我々の対応の加速化
 我々は,我々の全国民の健康と安全を守るために精力的に取り組む。現在の新型コロナウイルスの流行への対応を加速化することが,引き続き我々の最重要課題である。我々は,適切な国境管理措置を含め,新型コロナウイルスの拡散を減速させるために協調して取り組む。
 我々は,我々の国内及び国際的な保健システムを強化するための努力を増進する。我々は,衛生的な影響を伴う感染症の流行及び緊急事態に際して対応を主導し,地理的な空白を生じさせない形で,WHOの国際的マンデートを完全に支持し,全ての国,国際機関及び民間企業が,感染症グローバル準備・対応計画などの世界的な取組を支援することを奨励する。
 我々は,予防戦略と緩和措置を向上させるため,最新かつ最適な情報へのアクセスを確保するための即時情報共有の重要性を強調する。
 我々は,ウイルスをより良く理解し,闘うために,疫学及びその他のデータを蓄積する。
 我々は,グローバルな連帯である感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)に対する自発的な支援を通じたものを含め,協調的な研究の取組を強化する。我々は,効率性,安全性及びアクセス可能性の原則に則して,治療法及びワクチンの迅速な開発,製造及び流通に向け,公的及び民間資金により出資された共同調査プロジェクトの立ち上げやファシリティの共有などの協調的な調査努力を促進する。
 我々は,最も必要とされている場所での医療機器の入手可能性の向上のための努力を継続する。
 我々は,何百万人もの市民がニュースやソーシャル・メディアを通じて情報を得ることができることを認識し,最新の正確で適切な公式情報へのアクセスを最大化すべくオンライン・プラットフォームと協力する。
 これらの目標を実行に移し,要すれば措置をとるためには,政府全体での取組が必要となる。そのため,我々は保健大臣に対して,引き続き,週に一度調整を行うよう求める。

新型コロナウイルスの流行による経済への影響に力強く対応する
 我々は,G7における力強い成長を達成し,下方リスクに対して備えるために,あらゆる政策的手段を用いて,方策を調整し,できる限りの対応を行うことを決意する。
 このため,迅速にかつ必要な限りの,影響を最も受ける労働者,企業及び産業を支援すべく,金融,財政政策及び的を絞った措置を含めた,あらゆる手段を動員する。これは,中小企業や労働者世帯にとって特に重要である。
 我々はさらに,中央銀行に対して,経済及び金融の安定を支え,経済の回復と成長を促進するために,必要な金融面での措置について引き続き協調していくことを求める。
 我々は,財務大臣に対して,このような政策の実施について週に一度調整を行い,更に時宜を得た効果的な対応を策定することを求める。
 我々は,ビジネスの継続性に関する課題に直面する中において,国際機関間の調整の重要性を改めて強調する。我々は,IMF,世界銀行グループ及び他の国際機関に対して,この特別な課題に焦点を当て,協調的な国際的対応の一環として,世界の国々を更に支援することを要請する。我々はさらに,財務大臣に対して,新型コロナウイルスによる公衆衛生上及び経済的な打撃に直面した新興国及び発展途上国を含む国々を支援するために,適切な国際的財政支援を迅速に計画・実施すべく,国際機関と緊密に連携することを要請する。
 我々は,国際的サプライチェーンの混乱に対処し,国際貿易を促進するための作業を継続する。

成長を回復し拡大する
 我々は,この国際的な非常事態に対応するために必要な措置を実施することを決意し,共に取り組むことにコミットする。我々は,経済的な課題に直面する中,新型コロナウイルスのパンデミックの前に想定されていた経済成長の水準を回復するのみならず,将来のより強い成長に向けた基盤を作ることを決意する。我々は,G7サミットを含め,G7議長国を通じて引き続き協力するとともに,G20に対して以上の取組を支援し更に促進することを要請する。

G7首脳テレビ会議(令和2年3月16日 外務省)
 3月16日(月曜日)23時から約50分間,安倍晋三内閣総理大臣はG7首脳テレビ会議に出席したところ,概要は以下のとおりです。今回の会合は,仏からの提案を受けて,本年のG7議長国米国の呼びかけで開催されました。G7首脳間でテレビ会議が行われるのは初めてです。また,会合後,首脳宣言(英語(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く)が発出されました。

 1 参加したG7首脳は,新型コロナウイルス感染症に関し,各国内の経済状況や感染拡大防止策について意見交換を行いました。

 2 安倍総理からは,1点目として,現下の厳しい状況を収束させるためには,治療薬の開発が重要であり,G7の英知を結集させ,開発を加速させることが必要であること,2点目として,経済に悪影響がある中,G7が協調して必要十分な経済財政政策を実施するという力強いメッセージを出すべきであるとの点を述べ,G7の賛同を得ました。また,今回の首脳間のテレビ会議は非常に有意義であり,必要に応じ再度開催することで一致しました。

 3 また,安倍総理は,東京オリンピック・パラリンピックについて,人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として,完全な形で実施したいと述べ,G7の支持を得ました。

 4 参加したG7首脳間では,新型コロナウイルス感染症への対応に際し,国際社会が一丸となった取組が求められていることを確認し,首脳間で率直な意見交換を行い,G7として引き続き協力することで一致しました。

【参考】G7首脳テレビ会議出席者
 日:安倍総理,米:トランプ大統領,独:メルケル首相,加:トルドー首相,伊:コンテ首相,英:ジョンソン首相,仏:マクロン大統領,EU:ミシェル欧州理事会議長,フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長
外務省のPDFファイルは日本語仮訳も 2020年3月17日の午前2時前に作成されてアップロードされたようです。いくつかのマスコミ記事をチェックしながら外務省発信にも気付いたのは幸いでした。
【2020年3月16日のG7首脳テレビ会議】
日本時間では3月16日の23時から約50分間とのことですが、今回の議長国アメリカ合衆国(ワシントンD.C.)はサマータイム(アメリカ東部夏時間)で日本との時差は13時間、すなわち午前10時からテレビ会議は始まったことになります。カナダも同様でしょう。
UTC(協定世界時)から日本は9時間進んでいますので、未だ夏時間では無いイギリスでは16日14時に会議開始でした(夏時間のワシントンとは4時間差です)。欧州各国も15時~16時頃開始だったと思います。