甲府市自治基本条例をつくる会

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甲府市自治基本条例(市民案)

出典は平成18(2006)年12月28日 甲府市ホームページ、「甲府市自治基本条例(市民案)が提出されました」

前文

 私たちのまち甲府市は、溢れる光と清らかな水に恵まれた甲府盆地にあり、先人は輝かしい歴史を築きあげ、多彩な地域の文化を育んできました。
いま、平和で住みよいまちを発展させ継承していくために、市民と市は、自律した自治のあり方としくみをより確固たるものとし、市民の福祉の増進を図っていくことが求められています。
私たち一人ひとりは、主体的に生き人を思いやる心を大切にし、人と人、人と自然との共生を図るとともに、市民と市議会と市長の協働により、公正で平等な地域社会をつくり、次の世代に引き継いでいきます。
 私たちは、市民としての誇りと責任をもち、ここに、甲府市自治基本条例を制定します。

【解釈】
① 前文は、この条例の制定の趣旨、目的、基本原則などを述べるもので、本文と一体をなすものとして本文各条項の解釈基準となるものです。
② 自治基本条例は甲府市の最高規範として、自治の理念や基本原則などを定める重要な条例であり、それらを明らかにするために前文を置きました。
③ 甲府市は、山岳地域をはじめとする美しい自然に恵まれ、全国の県庁所在都市で全国一の日照時間を誇る光が甲府盆地に降り注いでいます。金峰山を源流とする水は、市民の大切な生活の水であり、荒川として市内を流れています。盆地の地下には地下湖といえるほど多くの水が貯えられています。また、人々はハート型をした盆地を意識し、古墳・縄文文化から現代に至るまでの輝かしい歴史と彩りの文化を育んできました。
④ 人と人が共生し、人と自然が共生する中で、この平和で住みよいまちを更に発展させ、次の世代に引き継いでいくためには、住民自治の確立を確固たるものにする、市民と市議会と市長による自律した自治のあり方としくみを明確にしていくことが必要です。甲府市では、この自律した自治のあり方としくみを実現する基本的な原則として、第4条では「参画と協働」を位置付けています。
⑤ 甲府市が議決を経て制定した「甲府市市民憲章」に謳う「この甲府の市民であることに誇りと責任を感じ」という趣旨を踏まえ、ここに、甲府市自治基本条例の制定を宣言します。

第1章 総則

第1条 (目的)
 この条例は、地方自治の本旨である住民自治と団体自治の考え方に則り、市民と市議会と市長の役割と責務など基本的しくみを定めます。
【解釈】
① 目的規定は、この条例の立法目的を示すものです。
② この条例は、自治のあり方やしくみを定めていくことを目的とする組織に関する条例であり、まちづくりの方向性を示すことが目的ではありません。
③ この条例は、地方自治の本旨に則り、「条例の基本原則」、「市民、事業者等の権利と責務」、「市議会の役割と責務」、「市長等の責務」、「市政運営」、「市民等の市政への参画」などを定めます。
第2条 (最高規範性)
 この条例は、市の最高規範であり、市は、他の条例等の制定及び改廃並びに法令及び条例等の解釈及び運用に当たっては、この条例との整合性を図らなければなりません。
【解釈】
①  自治基本条例は、本市の条例体系の頂点にある条例として、自律した自治のあり方やしくみを定めるものです。しかしながら、この自治基本条例も他の条例と形式は同じ条例であり、日本国憲法のように、他の法規の上位に位置するものでありません。そこで、この条例が市政運営において、文字通り最も基本となる条例であり、他の条例や規則などの制定や改廃に当たっては自治基本条例との整合性を図らなければならないことなどを定めることにより、自治基本条例に最高規範性を持たせ、いわば「甲府市の憲法」であることを明らかにしています。
② 国や県が定める法令や条例等の解釈や運用に当たっては、第25条に「法令の自主解釈」を規定しています。
第3条 (用語の定義)
 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによります。
① 市民 市内に住み、又は市内で働き、学び若しくは活動する人をいいます。
② 住民 市内に住所を有する人をいいます。
③ 執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
④ 市 市議会及び執行機関によって構成される自治体をいいます。
⑤ 協働 市民、市議会及び執行機関が、それぞれの立場や特性を尊重し合い、自覚と責任を持って相互に補完し、地域課題の解決のために協力する関係をいいます。
⑥ 参画 市民が、政策の立案、実施及び評価の過程に、主体的に参加し、意思決定に関わることをいいます。
⑦ コミュニティ団体 地域社会の中で、地縁又は共通の公共的関心事によって繋がりを持ち、民主的な組織運営の下で、互いに助け合い、共通目的を達成するために結ばれた組織や団体をいいます。
⑧ NPO 不特定かつ多数のものの利益の増進のため、民間の非営利かつ継続的な活動を行う特定非営利活動法人と市民団体、ボランティア団体をいいます。
【解釈】
① この条例の中で使われる用語のうち、認識を共通にしておきたい重要な用語の意義や意味するものを定義します。
② 「市民」とは、市内に住所を有する人や市内の事業所に勤務している人、市内の学校に通学している人に加え、市内で市民活動をするなど、さまざまな活動を行っている個人を示す用語として定めます。
③  これまで、市は、「甲府市の協働によるまちづくりに関する基本方針」において、市の協働の相手方としての「市民」の概念を、自然人としての市民だけでなく、市内に所在する企業や学校なども含めたものとしてきました。しかし、この条例では、「市民」の概念を自然人に限定し、コミュニティ団体、NPO及び事業者について別途規定することで、市民の概念を明確にしています。

第2章 基本原則

第4条 (参加と協働の原則)
 市民、市議会及び市長は、その独立性、対等性を互いに尊重し、参画と協働を推進します。
【解釈】
① 市民と市議会と市長が、その独立性と対等性を互いに尊重し、「参画と協働」していくことが、本市の自治を推進する根本的な原則です。
第5条 (情報共有の原則)
 市民、市議会及び市長は、市政に関わる情報を積極的に公開し、共有します。
【解釈】
① 本条例の基本原則である「参画と協働」を推進するためには、市民と市議会と市長との「情報共有」が必要であります。
② この「情報の共有」を維持するためには、市民の「情報を得る権利」を保障するとともに、市議会や市長等の「説明責任」を含めて考えています。

第3章 市民、事業者等

第6条 (市民の市政に参画する権利と責務)
 市民は、年齢、性別、国籍等を問わず市政に参画する権利があります。
2 市民は、市政への参画に当たっては、自らの発言と行動に責任を持たなければなりません。
3 市民は、市政に参画しないことで不利益な扱いを受けません。
【解釈】
① 第3章「市民、事業者等」では、市民や事業者が市政に参画する「権利と責務」を規定します。
② 「年齢、性別、国籍等」は、「年齢、性別、国籍、人種、性的志向(ジェンダー)、政治思想、民族、宗教、身体、精神障害の有無及び社会的地位」などを指します。
③ 第1項に規定する「市政」は、政策形成に限らず公共サービス活動も含め、広い意味での「市政」を指します。
④ 市政への参画は、市民自治推進の観点から、市民の当然の権利です。
  特に、政策形成への市民参画については、第7章「市政への参画」で、市民意見提出制度、直接請求制度、住民投票を定めています。
⑤ 第3項は、権利と責務に関わるものではありませんが、市政に参画しないことによる不利益な取扱を受けないために、市民と市長との関係を特に規定します。
第7条 (市民の行政サービスを受ける権利と責務)
 市民は、行政サービスを受ける権利があります。
2 市民は、行政サービスに伴う負担を分かち合わなければなりません。
【解釈】
① 地方自治法第10条第2項の規定により、「住民は、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有する」とするところでありますが、市外からの通勤者や通学者を含む拡張した「市民」の概念では、ひとしい権利としての行政サービスを受ける権利は定められていないため、単に行政サービスを受ける権利があることのみを定めました。
② また、同法では、「その負担を分任する義務を負う」とするところであり、その「分任」は、税・使用料等金銭的な負担を指していますが、ここでは、例えば、自宅に寝たきりの高齢者などの食事や、体が不自由な方のペットの散歩など、公共性の認定はされないけれども、自己責任で対処することも困難なニードに対応して、思いを同じくする人と連帯・共同して提供する公共サービスに伴う負担も想定しています。なお、その際に、参画しないことで不利益な扱いを受けないことを、第6条第3項で規定しています。
第8条 (市民の知る権利)
 市民は、市が保有する情報について、知る権利があります。
【解釈】
① 市民の知る権利は、情報の共有の権利を改めて市民の権利として明確にするものであります。
第9条 (市民の個人情報の保護に関する権利)
 市民は、市が保有する自己の情報について、開示及び適正な措置を請求する権利があります。
【解釈】
① 市民には、市の実施機関が保有する個人情報の開示や、訂正、削除を請求する権利があることを明らかにすることにより、市政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利と利益を保護します。
第10条 (子どもの権利)
 子どもは、健やかに育つ権利があります。
2 子どもは、社会の一員として、市政に参画する権利があります。
【解釈】
① 明日の社会を築き上げていく社会の珠玉である子どもを大切に育てるという甲府市の姿勢を謳っています。
② 子どもは、家庭や学校だけでなく、地域でも育まれる必要があるという視点に立っています。
③ 子どもが健やかに育まれる権利を有する裏には、市民と市議会と市長は、次代を担う子どもたちが、健やかに育つ環境をつくる責務があります。
④ 市民の市政に参画する権利は第6条に規定していますが、特に、子どもの権利としても規定するものです。
第11条 (コミュニティ団体等の役割と責務)
 自治会などのコミュニティ団体とNPOは、市民自治を推進する担い手としての役割があります。
2 コミュニティ団体は、会員の自主性及び自立性を尊重し、民主的な組織運営と団体活動の充実と拡充に努めなければなりません。
【解釈】
① これまで、自治会などの地縁型のコミュニティが、自治の推進に大きな役割を果たしてきましたが、近年は、ボランティア、NPOなどテーマ型のコミュニティによる地域活動も活発化し、身近な問題は地域の問題として捉え、自分たちで解決していこうという市民自治意識が高まるなど、市民自治を推進する担い手となっています。こうした中、甲府市では、まちづくり協議会と協働して、ふれあい事業、環境美化事業、子供を育む地域交流事業などに取り組んでいます。
② コミュニティ活動は、コミュニティが地域住民の自治によるまちづくりの担い手となることを目指して取り組むものであり、その展開は地域住民の自律性と自主性をもとに推進するものです。
第12条 (事業者の権利と責務)
 事業者は、市政に参画する権利と行政サービスを受ける権利があります。
2 事業者は、地域社会の一員として、社会的責任を果たし、地域社会との調和を図らなければなりません。
3 事業者は、行政サービスに伴う負担を分かち合わなければなりません。
【解釈】
① 事業者は、地域社会を構成する一員として役割と責務を担うことを明確にするとともに、市政に参画する権利を保障しています。
② 「事業者」は、株式会社などの営利法人をはじめ、学校法人、社会福祉法人などの公益法人や、協同組合などの中間法人を指しています。

第4章 市議会と市議会議員

第13条 (市議会の設置)
 市に議事機関として、選挙によって選ばれた市議会議員で構成する市議会を置きます。
【解釈】
① この規定は、憲法及び地方自治法の規定の確認になりますが、国政への信託と並んで、自治機構に市民が信託するところに自治体の権威と権力の源泉があることを踏まえ、改めて市議会の設置を掲げています。
第14条 (市議会の役割と責務)
 市議会は、市民の多様な意思を市政に反映させるため、その権限を行使します。
2 市議会は、市長と相互に牽制と均衡の関係を保持することにより、公正で円滑な市政運営を確保する機能を果たすものとします。
3 市議会は、法令に定めるもののほか、条例で定めることにより市政の重要なことがらについて、その議決事項とすることができます。
4 市議会は、その活動に関する情報を市民と積極的に共有するとともに、市議会への市民参画を推進し、開かれた市議会運営に努めます。
【解釈】
① 市議会は、住民から選ばれた代表である議員によって構成される議事機関として、常に住民の意思を市政に反映させることを目指し、その権限を行使します。
② 市議会は、行政運営に関する監視機能や検査機能は勿論のこと、更なる政策立案機能の充実を図っていくことが求められています。
③  「相互に牽制」は、長の牽制として、地方自治法第176条「異議による再議」、同第178条「議会の不信任決議と長の処置」(議会の解散)が、議会の牽制として同第96条「議決事件」(市議会が議決しなければならない事項)、同第98条「検閲及び検査、監査の請求」、同第100条「議会の調査権」があります。
④ 地方自治法第96条第2項の規定により、市長と市議会議員の発議により、条例で議決すべき事項を定めることができますが、ここでは特に、市議会の権能を立証する意義付けとして、市議会が条例で議決事項を定めることができます。
⑤ 市議会への市民参画を推進し、開かれた市議会運営を行うため、委員会での公聴会制度及び参考人制度の積極的活用に努めます。
第15条 (市議会議員の責務)
 市議会議員は、地域の課題や市民の意見を把握するとともに、総合的かつ長期的な視点に基づいて発言し行動します。
2 市議会議員は、市民自治を推進するために自己研鑽に努め、公正かつ誠実に職務を執行します。
【解釈】
① 市議会議員は地域の課題や市民の意見を把握するとともに、市政全体の観点から的確な判断を行うことが求められています。
② 市議会議員は、多様な意見を持って議論する必要がありますが、地域エゴに対する牽制の意味を含めて、市民の利益のために全市的に総合的長期的視点に基づいた対応をとる必要があります。
第16条 (市議会活動の基本に関する条例)
 市議会は、この条例の理念を尊重し、議会活動の基本に関する条例を別に定めます。
【解釈】
① 市議会の合議制の特徴を強調するとともに住民と歩む市議会を目指し、市議会運営のルールを最高規範としての議会基本条例に規定します。

第5章 市長とその他の執行機関等

第17条 (市長の設置)
 市に、選挙によって選ばれた市の代表である市長を置きます。
【解釈】
① この規定は、第13条に規定する議会の設置と同様、改めて市長の設置を掲げるものです。
第18条 (市長とその他の執行機関の責務)
 市長とその他の執行機関は、この条例の理念に基づき、多様な意見に配慮し、市民の意思を市政に実現させるために、全力を挙げて市政の執行に当たらなければなりません。
2 市長を除く執行機関は、市長の統轄の下で職務を執行します。
【解釈】
① 市長と教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会は、多様な市民の意見に配慮し、市民の意思を市政に実現させる責務があります。
第19条 (市職員の責務)
 市の職員は、この条例の理念に基づき、市民の福祉の向上のために全力を挙げて職務を遂行しなければなりません。
【解釈】
① 職員は、法令等を遵守し全体の奉仕者として、市民福祉の向上のために全力を挙げて職務を遂行する責務があります。

第6章 市政運営

第20条 (基本構想等)
 市は、この条例の理念に則り、総合的かつ計画的な市政の運営を図るため、まちづくりの指針として、市議会の議決を経て基本構想を定めます。
2 市は、前項に規定する基本構想の実現を図るための計画を定めます。
【解釈】
① 市は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経て総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行うようしなければなりません。
② 基本構想は、まちづくりの指針として、都市像とそれを実現するための基本目標を定め、施策の方向性を示すものです。現在の第五次甲府市総合計画は、この基本構想とその施策の基本区分を示す実施計画をもって構成しています。
第21条 (分野別基本条例の制定)
 市は、この条例の理念に則り、行政の分野別基本条例を定めます。
【解釈】
① 社会がますます複雑化、高度化する中で、一定の行政分野における政策の基本的方向を分野別基本条例として定め、関係政策の体系化を図ります。
② 市政の重要な分野について、市の制度、政策、対策に関する基本方針、原則等を分野別基本条例として明示します。
第22条 (市民等との協働)
 市は、多様性と選択肢のある行政サービスの提供を図るため、市民、コミュニティ団体等との協働のしくみを構築します。
【解釈】
① 市は、協働のパートナーとして、市民、コミュニティ団体、NPO、ボランティアの活動や、私的営利企業による社会貢献活動を取り込み、より大きな輪を設定するよう、協働の可能性や人と人とのつながりの拡大を図ります。
第23条 (情報公開)
 市は、適切に情報公開制度を運用し、より公平で透明な市政運営に努めます。
【解釈】
① 情報公開は、情報公開条例に規定する制度に基づく情報公開の推進に努めます。
第24条 (説明責任)
 市は、政策の立案、実施及び評価の過程において、その内容、効果等について、市民にわかりやすく説明します
【解釈】
① 説明責任は、第5条に規定する「情報共有の原則」で規定した、市民と市議会と市長は市政に関わる情報を共有するとともに、第8条「市民の権利」で規定した、市民が市の保有する情報を知る権利を保障する前提条件となるものです。
第25条 (法令の自主解釈)
 市は、地方自治の本旨及びこの条例の理念に則り、自主的に法令を解釈します。
【解釈】
① 地方分権一括法の施行(H12.4.1)により、市は市の責任において法令を解釈し、積極的に運用しなければなりません。
第26条 (行政組織)
 市は、行政組織を市民にわかりやすく、効率的かつ機能的なものにするとともに、社会経済情勢の変化及び市民ニーズに的確に対応するよう編成します。
【解釈】
① 市は、常にその組織と運営の合理化に努めるとともに、その規模の適正化を図らなければなりません。
② 組織のあり方については、市民にわかりやすいものでなければなりません。
第27条 (行政手続)
 市は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、市民の権利利益を保護するため、行政手続に関し必要な事項を別に条例で定めます。
【解釈】
① 処分、行政指導、届出に関する行政手続をあらかじめ市民に明らかにすることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、市民の権利利益の保護に資するものです。
② 行政手続に関する詳細な規定は、「甲府市行政手続条例」に委ねています。
第28条 (行政評価)
 市は、効果的かつ効率的な行政サービスの提供を目指すとともに、市政運営の透明性の向上を図るため、客観的な行政評価を実施し、その結果を公表します。
【解釈】
① 市は、事業を効率性や必要性等の視点から見直すシステムを確立し、限られた経営資源の効率的かつ効果的な活用による質の高い市民サービスの提供を目指すとともに、市政運営の透明性の向上と経費等に対する職員の意識改革を図ります。
第29条 (財政運営)
 市は、自立的な財政運営を行うことにより、財政の健全性の確保に努めます。
2 市は、予算の執行に当たっては、最小の経費で最大の効果を挙げるよう努めます。
3 市は、財政状況を市民にわかりやすく公表します。
【解釈】
①  地方財政運営の基本は、地方財政法第2条の規定により、地方自治体は財政の健全な運営に努めなければなりません。また、国は、地方財政の自主的かつ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこなったり、地方自治体に負担を転嫁するような施策を行ってはなりません。
② 予算の執行は、地方自治法第2条第14項の規定により、最小の経費で最大の効果を挙げるようしなければなりません。
③ 財政状況の公表は、地方自治法第233条第6項の規定により、年1回公表するものとし、市民に分かりやすく公表することが大切です。
第30条 (審議会委員の公募等)
 市は、審議会等の委員には、公募の委員を加えるよう努めます。
【解釈】
① 甲府市では、既に、「甲府市附属機関等の設置及び運営に関する要綱」を施行し(H11.9.1)、地方自治法第138条の4第3項の規定により、法律または条例により設置される審査会、審議会、調査会等の委員の一部を、公募により選任するよう努めています。
第31条 (市民要望の取扱)
 市は、市民の市政に関する要望又は苦情について、誠実かつ迅速に応答します。
【解釈】
① 「応答します」は、「対応しながら回答します」ことを意味しています。
第32条 (国及び他の自治体との関係)
 市は、国及び他の自治体との対等、協力の関係にあることを踏まえ、自らの権限を行使します。
2 市は、国及び他の自治体と積極的に連携を図り、共通する課題に対し、その解決に努めます。
【解釈】
① 国及び他の自治体との対等、協力の関係のもとで適切な役割分担を確立するよう、市が国、県に対して積極的に働きかけていきます。
第33条 (国際交流の推進)
 市は、相互理解の醸成等を目指して、海外の自治体等との交流を推進します。
【解釈】
① 第6条「市民の市政に参画する権利と責務」の第1項で、「国籍等を問わず参画する権利があります。」と規定しているところであり、そうした外国籍の人々の出身地を含む海外への理解を深めるべきことにあるので、問題解決に取り組むことも含めて、相互理解の醸成等を目指します。

第7章 市政への参画

第34条 (市民意見提出制度)
 市は、重要な条例や計画の策定等に当たり、事前に案を公表し、広く市民に意見を求め、これを考慮します。
2 市は、市民から提出された意見とこれに対する市の考え方を公表します。
3 市は、前2項に規定する市民意見の提出に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
【解釈】
① 「重要な条例や計画の策定等」とは、第3項により規定する条例にその内容を定めるものであります。
② 甲府市では、既に、「こうふ市民意見提出制度実施要綱」を施行(H16.4.1)していますが、その内容としては、市民に義務を課し又は権利を制約する条例若しくは制度の制定又は改廃、市の施策に関する基本的な計画の決定又は変更等を指します。
第35条 (直接請求制度)
 住民は、条例の制定改廃、市議会の解散並びに市長及び市議会議員の解職等について、地方自治法(昭和22年法律第67号)の規定に基づき請求することができます。
【解釈】
① 地方自治法は、代表制民主主義の欠陥を補い、住民による恒常的な監視と参加を可能にするため、国にはみられない直接民主主義的制度を採用しています。
第36条 (住民投票)
 市は、市政に関わる重要事項について、住民の意思を反映するため、住民投票制度を設けることができます。
2 市は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
3 市は、住民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
【解釈】
① 住民投票制度は、政策過程に住民の提案が直接影響を与えることを志向する参加民主主義の制度の課題を考える重要なテーマの一つです。
② 地方自治法には、住民の権利として、議会の解散請求や議員・長の解職請求について住民投票制度があります。
  また、昨今の住民投票制度の動向として、合併特例法による市町村合併をめぐる直接請求を議会が否決した場合の対応をはじめ、常設型住民投票条例の制定による政策提言や条例の制定改廃の直接請求などと連動させる試みも生まれてきています。
  そこで、住民自治の更なる発展を図る観点から、住民投票制度を設ける旨を規定します。
③ これまで甲府市においては、住民投票の議論がありませんでしたが、第3項に規定する住民投票を実施する条例を制定する際には、これらの状況を十分認識する中で、代表制民主制の意義を発揮させるとともに、日々の住民参加や住民による決定への参加のしくみを検討していきます。

第8章 条例の見直し

第37条 (条例の見直し)
 市は、この条例の施行後4年を超えない期間に、市民の意見を反映して条例の見直しを検討します。
2 市は、前項に規定する見直しの結果に基づいて必要な措置を講じます。
【解釈】
① 市長や市議会議員の任期が4年であることから、この条例に定める自治の理念及び基本原則に照らして、その任期中にこの条例の見直しを検討します。
附則
 この条例は、平成**年**月**日から施行します。
 附則に、自治基本条例のロゴマークと愛称を規定します。